オンライン診療の問診で必ず聞かれる「服用中のお薬はありますか?」。この質問は形式的な確認ではなく、飲み合わせ事故からあなたを守る、診察の中で最も重要な安全確認です。そして答え方は簡単で、お薬手帳をビデオ診察のカメラに見せる(または写真で送る)だけで済みます。
この記事では、オンラインでの併用薬の伝え方、手帳がない場合の代替手段、伝え漏れしやすい薬のチェックリストを解説します。
なぜ併用薬の申告がそれほど重要なのか

薬には「一緒に使うと危険な組み合わせ」が存在します。iKUiKUの診療領域での実例を挙げると:
- ED治療薬 × 硝酸薬(ニトロ製剤):血圧が危険なレベルまで下がる併用禁忌。狭心症の発作薬・貼り薬も対象です(持病とED治療薬の記事参照)
- 早漏治療薬(ダポキセチン)× 抗うつ薬・一部の鎮痛薬:セロトニン症候群のリスク(ダポキセチンの記事参照)
- トラネキサム酸 × 低用量ピル:血栓リスクへの注意が必要な組み合わせ
- 睡眠薬 × 一部の抗真菌薬・抗生物質:薬の分解が妨げられ、効きすぎることがあります
ここで知っておくべき事実があります。保険診療では、処方データが薬局やレセプトで突き合わされ、危険な併用が機械的にチェックされる網があります。しかし自由診療のオンライン診療は保険の仕組みの外にあるため、この自動チェックが働きません。あなたの申告が、飲み合わせ事故を防ぐ唯一の安全装置なのです。「言わなくてもどこかで照合されるだろう」は、自由診療では成り立ちません。
オンラインでの伝え方|3つの方法
- お薬手帳をカメラに見せる(最も確実):ビデオ診察中に、直近のページを画面にかざすだけ。医師が薬品名・用量・処方日まで正確に確認できます
- 手帳やシートの写真を事前に送る:LINEの問診時に薬のシート(PTP包装)や手帳のページを撮影して送る方法。診察時間の短縮にもなります
- 電子お薬手帳・マイナポータルの画面を見せる:アプリで管理している方は、その画面共有・提示でも同等の情報が伝わります
お薬手帳がない場合の代替手段
| 手段 | ポイント |
|---|---|
| 薬の現物・パッケージ | シートに薬品名と用量が印字されています。カメラに見せれば十分特定できます |
| 調剤明細書・薬の説明書(薬情) | 薬局でもらう紙。捨てずに取っておくと手帳代わりになります |
| マイナポータル | マイナンバーカードがあれば、過去の処方・調剤履歴を自分で確認できます |
| 記憶ベースの申告 | 最終手段。「病名+何色のどんな形の薬か+1日何回」だけでも手がかりになります。不正確な場合はその旨も正直に |
伝え漏れしやすいもの|チェックリスト

「お薬」と聞かれると処方薬の飲み薬だけを思い浮かべがちですが、次もすべて申告対象です。診察前にこのリストで棚卸ししてください。
- 市販薬:鎮痛薬・胃薬・睡眠改善薬・鼻炎薬など、常用しているもの
- サプリメント・健康食品:セントジョーンズワートなど薬と相互作用するものがあります
- 頓服薬:「毎日は飲まない」発作時の薬(ニトロ製剤・片頭痛薬など)こそ重要です
- 飲み薬以外:貼り薬・塗り薬・点眼・吸入・注射(インスリン・GLP-1など)
- 他のオンライン診療・美容クリニックでの処方:ピル・AGA薬・ダイエット薬など、言いそびれやすい代表格です
- 最近やめた薬:中止後も影響が残る薬があります。「2週間前まで飲んでいた」も価値ある情報です
複数のクリニックを使う人ほど「一元管理」を
ED薬はA社、ピルはB社、AGAはC社——と窓口が分かれるほど、どこも全体像を把握できなくなり、飲み合わせの死角が生まれます。対策は2つです。
- お薬手帳(紙でもアプリでも)に自由診療の処方も自分で記録する:自由診療の薬は薬局を通らないため手帳に自動では載りません。処方のたびに自分でメモ・貼り付けする習慣が、全体像を守ります
- できるだけ窓口をまとめる:同じサービス内で複数の悩みを相談すれば、履歴が一元化され、毎回の説明も省けます(iKUiKUはED・ピル・睡眠・AGA・スキンケアなどを同じLINE窓口で相談できます。初めての方向けの記事参照)
診察前の「2分テンプレート」
併用薬の棚卸しを、診察前の2分で済ませるテンプレートです。LINEの問診やメモにそのまま使ってください。
- 毎日飲んでいる薬:(例:血圧の薬◯◯ 朝1錠)
- ときどき使う薬:(例:頭痛時にロキソニン、発作時にニトロのスプレー)
- 飲み薬以外:(例:湿布、点眼、まつ毛美容液、注射)
- 市販薬・サプリ:(例:睡眠改善薬を週2回、亜鉛サプリ毎日)
- 他のクリニックの処方:(例:オンラインでピルを毎月)
- 最近やめた薬:(例:2週間前まで抗生物質)
- アレルギー・過去に合わなかった薬:(例:ペニシリンで発疹)
一度作ってスマホのメモに保存しておけば、次回からは更新するだけです。このテンプレートは、オンライン診療に限らず、対面の病院・歯科・薬局でもそのまま通用します。「自分の薬の全体像を1枚で出せる」ことは、どの医療の入口でもあなたの安全を最速で確保する切り札になります。
この記事のまとめ
- 併用薬の申告は、飲み合わせ事故を防ぐ診察で最重要の安全確認
- 自由診療には保険の自動チェック網がなく、自己申告が唯一の安全装置
- 伝え方は「手帳・薬のシートをカメラに見せる/写真で送る」だけで十分
- 市販薬・サプリ・頓服・貼り薬・他院の自由診療処方が伝え漏れの定番
- 自由診療の薬は手帳に自動で載らない。自分で記録し、窓口はなるべく一元化する
よくある質問
Q. 薬の名前を正確に覚えていません。それでも診察を受けられますか?
A. 受けられます。薬のシートか薬局の説明書の写真が1枚あれば正確に特定できますし、なければ「病名・形状・色・回数」の情報から医師が絞り込みます。「分からないので調べてから」と後日に回すより、分かる範囲で今伝えるほうが安全です。
Q. サプリまで言う必要が本当にありますか?
A. あります。例えばセントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)はピルや多くの薬の効果を弱めることが知られており、「ただのハーブ」が避妊失敗の原因になりえます。飲んでいるものはすべて、が原則です。
Q. 他院で処方された薬のことを言うと、処方を断られませんか?
A. 危険な併用がある場合は断られる(または調整される)ことがありますが、それはまさに安全装置が働いた瞬間です。隠して処方を受けて事故に遭うのは、あなた自身です。実際には「併用OK」「タイミングをずらせばOK」で解決するケースが大半です。
Q. お薬手帳アプリと紙、どちらがいいですか?
A. 続けられるほうが正解です。アプリは自動連携と検索性、紙は見せる手軽さが利点。オンライン診療との相性で言えば、スマホ画面をそのまま見せられるアプリがやや便利ですが、自由診療の処方を自分で追記する手間はどちらも同じです。
Q. 家族に知られたくない薬があり、手帳に書きたくありません。
A. その事情ごと診察で相談してください。手帳への記載は義務ではなく、医師に口頭・写真で正確に伝われば安全確認は成立します。自分用のメモ(スマホのロック内)で管理する方法もあります。「知られたくないから申告しない」だけは避けてください。
Q. 診察のたびに毎回同じ薬を伝えるのは面倒です。
A. 同じ窓口で継続していれば、前回の記録が引き継がれるため「変更はありません」の一言で済みます。毎回ゼロから説明が必要になるのは窓口を転々とする場合で、これも窓口一元化をおすすめする理由のひとつです。

