「クラミジアも淋病も陰性だったのに、排尿時の違和感が続く」「おりものの異常が治らない」——そんなときに疑うべき候補が、マイコプラズマ・ウレアプラズマです。これらは比較的新しく注目されるようになった性感染症の原因菌で、通常のクラミジア・淋菌検査では検出されないため、「原因不明の尿道炎・膣炎」の影に隠れていることが少なくありません。
この記事では、この感染症の正体、症状の特徴、検査で見つからない理由、治療の考え方を解説します。
マイコプラズマ・ウレアプラズマとは|肺炎の菌とは別物

まず混同しやすい点から。性感染症として問題になるのは、マイコプラズマ・ジェニタリウムやウレアプラズマなどの性器に感染するタイプの菌です。子どもの「マイコプラズマ肺炎」を起こす菌(マイコプラズマ・ニューモニエ)とは別の菌で、咳でうつることはありません。感染経路は性行為(膣性交・オーラル・アナル)です。
これらの菌は細胞壁を持たない特殊な細菌で、この特徴が「検出しにくさ」と「効く抗菌薬が限られる」という2つのやっかいさにつながっています。
症状|クラミジアとそっくりで、さらに軽い
| 男性 | 女性 | |
|---|---|---|
| 主な症状 | 排尿時の違和感・軽い痛み、尿道のかゆみ、透明〜白っぽい分泌物 | おりものの増加・変化、不正出血、軽い下腹部痛、排尿時の違和感 |
| 特徴 | 淋病より症状が軽く、気づきにくい | 無症状のことが多い |
| 放置した場合 | 前立腺炎・精巣上体炎のリスク | 子宮頸管炎から骨盤内炎症性疾患(PID)へ進むおそれ。不妊との関連も指摘 |
症状だけではクラミジアと見分けがつきません(クラミジアについてはクラミジア治療薬の記事参照)。実際の臨床では、「クラミジア・淋菌が陰性なのに尿道炎症状が続く」ケース(非クラミジア性非淋菌性尿道炎)の主要な原因菌として知られています。
なぜ普通の性病検査で見つからないのか
一般的な「性病検査」に含まれるのはクラミジアと淋菌のPCR検査で、マイコプラズマ・ウレアプラズマは専用の検査項目を追加しないと調べられません。「検査で陰性=性感染症ではない」とは言い切れないのはこのためです。症状が続くのに陰性が続く場合は、この菌を調べたかどうかを確認する価値があります。
検査は男性なら尿、女性なら膣分泌物やうがい液(咽頭)で行うPCR検査です。取り扱いの有無は医療機関によって異なるため、受診前に確認するとスムーズです。
治療|抗菌薬の選択が難しい感染症

治療は抗菌薬の内服ですが、この菌は細胞壁がないため、ペニシリン系など細胞壁を標的にする抗菌薬が効きません。マクロライド系(アジスロマイシンなど)やテトラサイクリン系(ドキシサイクリンなど)、ニューキノロン系が使われます。
さらに近年は薬剤耐性(特にマイコプラズマ・ジェニタリウムのマクロライド耐性)の増加が世界的な問題になっており、1回の治療で除菌しきれないケースもあります。治療後の再検査で除菌を確認することが、他の性感染症以上に重要です。
自己判断での抗生物質の使い回しはNG:手持ちの抗生物質や個人輸入の薬を中途半端に飲むと、症状だけ消えて菌が残り、耐性菌を育てる最悪のパターンになりえます。治療は必ず診察とセットで、処方された日数を飲み切ってください。
iKUiKUのオンライン診療では、症状や経過に応じてジスロマック(アジスロマイシン・6錠 税込6,500円)やビブラマイシン(ドキシサイクリン・10錠 税込2,500円)などの抗菌薬を取り扱っています。LINEで予約→ビデオ診察→最短2営業日・中身のわからない梱包でお届けまで完結します(性病のオンライン診療の記事参照)。
パートナーと「検査・治療・再開」をセットで
- パートナーも検査を:無症状でも保菌している可能性があり、片方だけの治療ではピンポン感染で振り出しに戻ります(パートナーへの伝え方の記事参照)
- 治療完了まで性行為は控える:オーラルセックスも感染経路です
- 治療後の再検査で除菌確認:耐性菌の問題があるため、「症状が消えた=治った」と自己判定しないことが大切です
なお、ウレアプラズマは健康な人からも見つかることがある菌のため、「検出=即治療」とは限りません。症状・パートナーの状況・妊娠希望の有無などを踏まえて、治療の要否を医師と相談するのが適切です。
受診前に整理しておくと診断が速くなる情報
この感染症は「検査の選び方」が診断の成否を分けるため、受診前に次の情報を時系列で整理しておくと、医師が最短ルートで検査を組めます。
- 症状の経過:いつから・どんな症状か(排尿時の違和感、おりものの変化、喉の違和感など)
- これまでの検査歴:クラミジア・淋菌の検査をいつ受けて、結果がどうだったか。「陰性だったのに症状が続いている」という情報自体が、この菌を疑う最大の根拠になります
- 治療歴:過去に飲んだ抗菌薬の名前と期間。「何を飲んでも治らなかった」の内訳は、耐性の推測と次の薬の選択に直結します
- 性行為の状況:オーラルの有無、パートナーの症状の有無。咽頭検査を加えるかどうかの判断材料です
オンライン診療のビデオ診察でも、この4点がまとまっていれば対面と遜色ない精度で方針を立てられます。メモを画面で読み上げるだけで十分です。
この記事のまとめ
- マイコプラズマ・ウレアプラズマは「クラミジア陰性なのに症状が続く」ときの主要候補
- 肺炎のマイコプラズマとは別物。感染経路は性行為
- 通常のクラミジア・淋菌検査では検出されず、専用のPCR検査が必要
- 細胞壁がない特殊な菌で、効く抗菌薬が限られ耐性も増加中。飲み切り+再検査が重要
- パートナー同時対応が再発防止の鍵。オンライン診療でも相談できる
よくある質問
Q. クラミジア検査が陰性なら、性病ではないと考えていいですか?
A. 言い切れません。一般的な検査はクラミジア・淋菌のみが対象で、マイコプラズマ・ウレアプラズマ、トリコモナスなどは別途の検査が必要です。症状が続くのに陰性が続く場合は、検査項目を広げる相談をしてください。
Q. ウレアプラズマが見つかりました。治療は必須ですか?
A. ウレアプラズマは無症状の健康な人からも検出されることがあり、「検出=即治療」とは限りません。症状の有無、パートナーの状況、妊娠の予定などを踏まえて要否を判断するのが現在の一般的な考え方です。医師と相談してください。
Q. オーラルセックスだけでも感染しますか?
A. はい。咽頭への感染、咽頭から性器への感染のどちらも起こりえます。喉の違和感が続く場合は咽頭の検査も選択肢です(咽頭クラミジアの記事も参考になります)。
Q. 治療薬を飲み終えたのに違和感が残っています。失敗ですか?
A. 炎症の回復には菌の除菌後も数週間かかることがあり、「違和感=治療失敗」とは限りません。ただし耐性菌の可能性もあるため、2〜4週間後の再検査で除菌を確認し、陽性が続くなら別系統の抗菌薬への変更を相談してください。
Q. 不妊との関係は本当にあるのですか?
A. 女性の骨盤内炎症性疾患(PID)を介した卵管性不妊との関連、男性の精子の質への影響が研究で指摘されています。確定的な結論が出ていない部分もありますが、妊娠を考えているカップルは、症状がなくても検査しておく価値がある感染症です。
Q. 自然に治ることはありますか?
A. 免疫によって排除されるケースも報告されていますが、期待して放置するのはおすすめできません。無症状でも感染を広げる可能性があり、女性では放置中にPIDへ進行するリスクがあります。見つかったら医師と対応を決めるのが安全です。

