PrEP(プレップ・曝露前予防内服)とは、HIVに感染していない人が、あらかじめ抗HIV薬を服用しておくことで感染リスクを大きく下げる予防法です。正しく服用を続けた場合、性行為によるHIV感染を高い確率で防げることが海外の公的機関や研究で報告されており、世界的に普及が進んでいます。
日本でも自由診療を中心に利用が広がっていますが、「名前は聞くけど、費用や始め方がわからない」「どこで相談すればいいのかわからない」という方が大半です。この記事で、仕組み・飲み方・費用・始め方までを一気に整理します。
PrEPの仕組み

PrEPはPre-Exposure Prophylaxis(曝露前予防)の略称です。HIVの治療にも使われる抗ウイルス薬(テノホビル+エムトリシタビンの配合剤)を感染前から体に巡らせておきます。万一ウイルスが体に入っても増殖を抑え込み、感染の成立を防ぐという考え方です。
重要な前提が2つあります。①PrEPはHIV専用の予防法で、梅毒・クラミジア・淋病など他の性感染症は防げません。コンドームの使用と定期検査は引き続き必要です。②開始前にHIV陰性の確認が必須です。すでに感染している状態でPrEP用の薬だけを飲むと、不完全な治療となり薬剤耐性のリスクがあるためです。
飲み方|デイリーPrEPが基本
- デイリーPrEP:1日1回1錠を毎日服用する方法。最も標準的で、効果の裏付けも豊富です
- オンデマンドPrEP:性行為の前後に合わせて服用する方法。主に男性間の性行為についてエビデンスがある方法で、適するかどうかは条件によります
どちらが合うかは生活スタイルとリスクの頻度によるため、診察で相談して決めるのが確実です。飲み忘れが多いと予防効果は下がるので、毎日の習慣(歯磨きと同じタイミング等)に組み込むのがコツです。
費用の目安
PrEPは予防目的のため保険適用外(自由診療)です。費用は「薬代+定期検査代+診察料」で構成されます。
| 項目 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 薬代 | 月1万円前後 | iKUiKUではタフェロEM(ジェネリック・30錠)が月9,000円(税込) |
| 定期検査 | 3カ月ごとに数千円〜 | HIV検査+腎機能等の確認が推奨される |
| 診察料・送料 | クリニックによる | iKUiKUは送料770円 |
先発薬(ツルバダ等)を使うと月数万円になることもありますが、ジェネリックの普及で月1万円前後まで現実的になってきました。年間では薬代だけで約11万円。安くはありませんが、「感染してからの生涯治療」と比べれば、リスクの高い期間に絞って使う価値のある選択肢です。
始め方|検査→処方→定期フォロー

HIV検査で陰性を確認
開始前の必須ステップです。iKUiKUではHIVを含む4項目のSTD自宅検査キット(7,900円)も取り扱っています。保健所の無料検査も利用できます。
診察・処方
リスク状況・持病・腎機能に関わる既往を確認し、適応を判断します。iKUiKUではLINE予約→ビデオ診察で、タフェロEM(30錠・月9,000円)を処方しています。
毎日服用+3カ月ごとの定期検査
HIV検査と体調チェックを定期的に続けながら服用します。やめ時も含めて医師と相談できます。
タフェロEMの副作用としては頭痛・吐き気・下痢・倦怠感などが報告されており、まれに腎機能や肝機能への影響が出ることがあります。定期検査はこのチェックも兼ねています。服用中に気になる症状が出たら医師に相談してください。
PrEPを無理なく続けるコツ
PrEPは「続けてこそ」の予防法です。運用面のコツを押さえておきましょう。
- 服用を生活動作に固定する:起床後の歯磨き・寝る前の充電など、毎日必ずやる行動とセットにします。ピルケースやスマホのリマインダーも有効です
- 残量の管理:次の30錠が切れる前に診察・注文を。配送に数日かかることを見込み、残り1週間分になったら手配が安心です
- 旅行・出張時:日数分+予備を携帯します。時差がある場合の服用時刻は医師に確認を
- やめるとき・休むときも相談を:リスクのある期間が終わったら中止する選択もできますが、やめ方(最終リスクからいつまで飲むか)には考え方があるため、自己判断で突然やめず医師に相談してください
PEP(曝露後予防)との違い
似た言葉にPEP(ペップ)があります。こちらはリスクのある行為の後、72時間以内に飲み始める緊急の予防法です。
- PrEP=事前に備える(計画的・継続服用)
- PEP=事後に緊急対応する(72時間以内・4週間服用)
「昨夜リスクのある行為があった」という状況ならPrEPではなくPEPの相談が必要です。時間との勝負なので、速やかに対応している医療機関へ連絡してください。
開始前・定期のHIV検査は、保健所(無料・匿名、日時は自治体による)と自宅検査キット(費用はかかるが日時の自由度が高い)のどちらでも入り口になります。生活リズムが不規則で保健所の時間に合わない方は、キットで確認してから診察に進む流れがスムーズです。
こんな人はPrEPを検討する価値がある
- パートナーがHIV陽性(治療状況によりリスクは異なります)
- 不特定のパートナーとの性行為の機会が多い
- 性風俗での勤務など、職業上リスクに接する機会がある
- コンドームを確実に使えない場面が現実的にある
該当するかどうか迷うレベルでも、相談だけして判断材料をもらうのは十分ありです。性感染症全般の検査タイミングについては性病かもと不安なときの記事も参考にしてください。
この記事のまとめ
- PrEPは抗HIV薬を事前に服用してHIV感染リスクを下げる予防法
- 基本は1日1回の毎日服用。開始前のHIV陰性確認が必須
- 費用は自由診療で月1万円前後から(iKUiKUのタフェロEMは月9,000円)
- 他の性感染症は防げないため、コンドームと定期検査は継続する
- 事後の緊急対応はPEP(72時間以内)という別の方法になる
よくある質問
Q. PrEPを飲んでいればコンドームは不要ですか?
A. いいえ。PrEPが予防するのはHIVだけで、梅毒・クラミジア・淋病などは防げません。妊娠の回避にも関係ありません。コンドームとの併用が前提です。
Q. どのくらい飲み続ければ効果が出ますか?
A. 服用開始から効果が安定するまで一定の日数がかかるとされます(部位や方法により異なる)。開始のタイミングと効果が見込める時期は、診察時に確認してください。
Q. 飲み忘れたらどうなりますか?
A. 飲み忘れが増えるほど予防効果は下がります。1回忘れた場合の対応(気づいた時点で服用等)は処方時の指示に従い、忘れが続くようなら服用方法自体を医師と見直してください。
Q. 副作用が心配です。
A. 開始初期に吐き気・頭痛などが出ることがありますが、多くは数週間で落ち着くとされます。まれに腎機能への影響があるため、定期検査でのチェックが推奨されます。気になる症状は我慢せず相談を。
Q. 検査なしでPrEPだけ処方してもらえますか?
A. できません。HIV陽性の状態でPrEP用の薬だけを飲むと薬剤耐性のリスクがあるため、開始前の陰性確認と定期的な検査が安全に続けるための条件です。
Q. 誰にも知られずに始められますか?
A. オンライン診療なら、検査キットの取り寄せから処方まで自宅で完結でき、お薬は中身のわからない梱包で届きます。配送とプライバシーの記事も参考にしてください。

