AGA治療の内服薬を調べると出てくる2つの名前、フィナステリド(プロペシア)とデュタステリド(ザガーロ)。どちらも「抜け毛の原因をブロックする守りの薬」ですが、ブロックする範囲と強さに違いがあります。「強いほうがいいのでは?」という単純な話でもないのが、この2剤の選び方の面白いところです。
この記事では、2剤の仕組みの違い、比較表、どちらから始めるべきか、切り替えの考え方を解説します。
仕組みの違い|「5αリダクターゼ」のどこを抑えるか

- AGAは、男性ホルモン(テストステロン)が5αリダクターゼという酵素によってDHT(ジヒドロテストステロン)に変換され、毛根を攻撃することで進みます(AGAの進行の記事参照)
- この酵素には1型と2型があり、頭皮では2型が主役、1型は皮脂腺などに分布します
- フィナステリド:2型だけを阻害します
- デュタステリド:1型と2型の両方を阻害し、血中DHTの低下幅もフィナステリドより大きいことが示されています
比較表|デュタステリドとフィナステリド
| フィナステリド | デュタステリド | |
|---|---|---|
| 先発品 | プロペシア | ザガーロ |
| 阻害する酵素 | 2型のみ | 1型+2型 |
| DHT低下 | 大きい | より大きい |
| 発毛・改善データ | 長期実績が豊富 | 比較試験で毛髪数の増加がフィナステリドを上回った報告あり |
| 副作用(性機能・肝機能等) | 少数で報告あり | 同系統の副作用で、頻度はやや高い傾向の報告 |
| 体から抜けるまで | 比較的速い | 半減期が数週間と長い(妊活時の計画に影響) |
| 位置づけ | 標準の第一選択 | 効果不十分時の切り替え・強化の選択肢 |
どちらから始める?|「強いほう」が正解ではない理由
一般的な進め方は、フィナステリドから始めて、6カ月〜1年の効果判定で不十分ならデュタステリドへの切り替えを検討するという段階方式です。理由は3つ。①フィナステリドで十分に進行が止まる人が多い、②副作用と半減期の面でフィナステリドのほうが扱いやすい、③最初から強い薬を使うと「効果の物足りなさを感じたときの次の一手」がなくなる——。初期のAGA(初期症状のセルフチェックの記事参照)なら、なおさら標準からで十分です。
デュタステリドを検討するタイミング

- フィナステリドを1年続けても、写真評価で進行が止まらない・改善が乏しい(効果はいつからの記事参照)
- 進行が速い・広範囲で、医師がより強い抑制を適切と判断した場合
- 注意点:妊活の予定がある人は半減期の長さが重要です。デュタステリドは中止後も成分が数週間〜数カ月残るため、子作りの計画がある場合は必ず事前に相談してください(妊活への影響の記事参照)
共通の注意点
- どちらも「守り」の薬:抜け毛の進行を止めるのが主で、積極的に生やす「攻め」はミノキシジルの役割です。回復を目指すなら併用が標準的です(併用の記事参照)
- 効果判定は6カ月〜1年:どちらもヘアサイクルに乗って効く薬で、即効性はありません。初期脱毛(初期脱毛の記事参照)で慌ててやめないことが最重要です
- 女性・未成年は使用不可:特に妊婦が触れることも避けるべき薬です(錠剤はコーティングされていますが、割った錠剤には触れないでください)
- 献血制限:服用中と中止後一定期間は献血できません(デュタステリドは中止後6カ月)
- 個人輸入は危険:偽造品・品質リスクに加え、肝機能などの経過観察なしの服用になります(個人輸入の危険の記事参照)
iKUiKUのオンライン診療では、フィナステリド1mg(28錠・税込6,920円)を取り扱っています。LINEで予約→ビデオ診察→最短2営業日・中身のわからない梱包でお届け、保険証不要・都度処方。「フィナステリドで物足りなくなったら?」という先の設計も含めて、診察で相談できます(費用の全体像はAGAオンライン診療の費用の記事参照)。
切り替え判断を支える「写真評価」の作法
フィナステリドで十分か、デュタステリドに進むべきか——この判断の質は、写真記録の質で決まります。
- 月1回・同じ条件で撮る:同じ場所・同じ照明・同じ角度(頭頂部・生え際・全体の3カット)。洗髪後に乾かした状態で統一します
- 比較は「半年前」と行う:先月との比較では変化は見えません。6カ月・12カ月単位の比較が評価の基本です
- 抜け毛の本数に一喜一憂しない:季節変動や洗髪間隔で簡単に揺れる数字です。写真の密度の変化のほうが信頼できます
- 判定のタイミングは1年:1年続けて「進行が止まっていない」ことが写真で確認できたとき、初めて切り替えが合理的な選択肢になります。3カ月での乗り換えは、効果が出る前に薬を替えているだけです
この記録はオンライン診療との相性も良く、再診時に写真を共有すれば、対面に劣らない精度で切り替え判断ができます。
この記事のまとめ
- フィナステリドは2型のみ、デュタステリドは1型+2型の酵素を阻害しDHT低下はより大きい
- 標準の進め方はフィナステリドから始め、1年の判定で不十分ならデュタステリドを検討
- デュタステリドは半減期が長く、妊活の計画がある人は事前相談が必須
- どちらも「守り」の薬。回復を目指すならミノキシジル(攻め)との併用が定石
- 効果判定は6カ月〜1年の写真比較で。初期脱毛でやめないことが最重要
よくある質問
Q. 最初からデュタステリドを使えば、早く確実に治りませんか?
A. 「強い=常に良い」ではありません。フィナステリドで十分な人が多数いる以上、副作用リスクと扱いやすさのバランスで標準から始めるのが合理的です。進行が速いケースなど、最初からデュタステリドが適切な場合は医師が判断します。
Q. フィナステリドからデュタステリドへの切り替えはどうやりますか?
A. 基本的には翌日から置き換える形で切り替えられますが、タイミングと経過観察は処方医の指示に従ってください。切り替え後も効果判定には再び6カ月程度かかります。
Q. デュタステリドのほうが副作用は強いのですか?
A. 同系統の副作用(性欲減退・ED・肝機能値の変動など)で、頻度はやや高い傾向が報告されていますが、多くの人は問題なく使えています。心配な症状が出たら自己判断で中断せず、処方元に相談してください(副作用の記事参照)。
Q. 2つを同時に飲んだら効果は上がりますか?
A. 併用は行いません。同じ経路に働く薬の重複で、効果の上乗せよりリスクだけが増えます。強化したい場合は「切り替え」が正しい選択肢です。
Q. ザガーロのジェネリックはありますか?
A. デュタステリドのジェネリックは国内で流通しており、先発より費用を抑えられます。取り扱いは医療機関によるため、処方時に確認してください。
Q. やめたらどうなりますか?
A. どちらの薬も、やめればDHTの抑制が外れ、数カ月かけてAGAの進行が再開します。「治ったからやめる」ではなく「維持のために続ける」性質の治療です。やめ方・減らし方を考えるときも医師と相談してください(やめるとどうなるかの記事参照)。
Q. 費用はどのくらい違いますか?
A. 一般的に、デュタステリド(ジェネリック含む)はフィナステリドよりやや高めの価格帯です。守りの薬は年単位で続けるものなので、月数百〜千円台の差でも年間では無視できません。「標準で足りるならフィナステリド」という原則は、医学的にも経済的にも合理的です。切り替え時には差額分の価値(効果の上積み)があるかを、写真評価とセットで判断してください。

